ドクターMの回想録
ERシリーズ(その3) その晩搬入された患者さんはインド系の方。近くの工場で仕事中右手を機械に挟まれての受傷です。 この方の場合、少し事情が複雑でした。 右手は食事をする大事な手ですので、切らないでください。しかし、仕事もしないで何ヶ月も入院するなどはとても出来ないと言うわけです。 もし私がそのときもう少し熟練の形成外科医であったなら、もしかしたらもっと良い治療があったのかも知れません。最小限の骨切除と遠隔皮弁による被覆で、示指は犠牲になりましたが中指、環指を多少短いながら温存しました。拇指は残っていますので対向機能はあり、とりあえず何とかご飯を掴めるようになりました。 最短の入院治療で国にお帰りになりましたが、後に風の噂に聞いたところによると日本の会社から貰った保険金(見舞金?)で本国に家を建てたそうです(真偽のほどは定かではありません)。 |