WALTHER P38
大型の軍用自動式拳銃としては、世界でもほとんど最初にダブルアクション機構を導入した。1930年代まで自動式拳銃の操作方式はシングルアクションが唯一であった。これは、ハンマーを起こしてから少しの力で引き金を引いて撃てるメリットはあったが、暴発のリスクがあり、常に安全装置を掛けねば携帯し難かった。すなわち、安全を重視すると速やかな発射が不能であった。
ワルサー社は1929年に開発した中型自動式拳銃「PP」で、リボルバー同様のダブルアクション機構を導入していた。ハンマーを起こさずに引き金を半分引けば、自動的にハンマーが起きあがり、引き金を引ききることで発射できる。引き金は重くなるが、暴発のリスクが少なく、安全装置を掛けずに携帯ができる(実際には安全装置は極力掛けるべきであるが)。従って構えた銃を素早く発射できる速射性が著しく改善される。
P38のダブル・アクション機構はPPのシステムの流れを汲むもので、シングル・アクション併用型だった。 現在のダブル・アクション、シングル・アクション共に操作可能な自動拳銃は、殆ど全てがこのワルサーP38の機構を殆どそのまま利用しているか、又はそれに改良を施しているといってよい。
また命中精度は高く、かつ射程距離も長い、完成度の高い拳銃であった。従来のルガーに比しても故障は少なかったが、ことにスライド上面に大きくえぐられた開口部は排夾を確実にした。しかし、なぜか薬莢は通常の右手側でなく、左手側に排夾された(この使い勝手を悪くする設計の理由は不明である)。
ヨーロッパ戦線に赴いたアメリカ軍兵士の間ではこの拳銃を持ち帰ることがステータスになるという現象も生じ、また、表面仕上げにちなみ『グレーゴースト(灰色の幽霊)』とも呼ばれ、恐れられ、またある意味、銃大国のアメリカ人を尊敬させたといってよい。
P38はワルサー社の他モーゼル社、スプリー・ベルグ社等でも生産された。スプリー・ベルグ製のP38はアッセンブリー生産で組み立てられたため、あまり質が良くない。
ワルサー社は戦後の1956年以降、再建された西ドイツ軍の制式拳銃としてP38を「ワルサーP.1」の制式名で再生産した。しかし、P38シリーズの完成度が極度に高かったが故に、後継モデルの開発を妨げる要因になったとも言われ、結果的にワルサー社の没落(創業者のワルサー一族から大手銃器メーカーであるウルティマックス社への移管)を招くことになったともされる。
黒のプラスチックグリップを装備している「コマーシャル」(一般向け)と、ベークライトのグリップを装備している「ミリタリー」(軍用)の二種類がある。
(木グリのナポレオンソロ仕様を覚えている方がいたら拍手)
Wikipediaより引用
ワルサーP38と言えば知らない人はいないと言うほど有名な名銃である。
私の年代ではナポレオンソロ、若い世代(でもないか)ではルパン三世で有名である。