昔々、電卓(卓上電子計算機←凄いネーミングだね)というやつが初めて私の前に出現したとき、数字は赤いネオンのような光を発していました。数字を表示するのはニキシー管という真空管でした。その後段階的に表示は液晶に取って代わられ、ニキシー管は完全に姿を消してしまいました。
しかし、人間は回顧の動物です。どこを探してもなかなか見つからないニキシー管でしたが、これを時計として復活させた製品ができていました。この時計はもう何年も前に購入しましたが、今でも味のある数字を光らせています。
昔のラジオやアンプはみんな真空管式でした。今では真空管を知らない人がいるのに驚いてしまいますが、真空管の最後の砦「ブラウン管」さえも駆逐されようとしている今、知っている人が少ないのもいたし方ありません。
小学校から中学校くらいの時、ラジオ少年だった私は小遣いを貯めては真空管やトランス、抵抗やコンデンサを買い集め配線図を見ながらラジオを組み立てていました。
完成したラジオの真空管にヒーターがぼーっとオレンジ色に輝くとどこか外国のラジオ局の放送が小さく聞こえてきました。
半田の匂いとともに思い出す光景です。
最近はオーディオの分野を中心に真空管仕様のアンプなどが流行っています。なにも懐古趣味ではなく、トランジスタやICにはないダイナミックな温もりが感じられるからです。