つい最近入手したWalthamです。何か変でしょ?
文字盤が90°回転しているのか竜頭とベルトの止め金具の位置が変なのか、とにかく今の時計にはない位置関係です。
文字盤も綺麗で6時の位置にわずかにヘアラインがある程度です。数字もクラシックなフォントで針はブルースチールの細いものです。
スモールセコンドは6時位置(9時位置?)。
ケースはあまりにも綺麗すぎですのでかなり研磨しているものと思いますが、裏蓋にはELGINの刻印があり、それなりに年代はついています。
ケース側面には彫刻が施され優雅な雰囲気を醸し出しています。
割と小さめです
ケースはおしゃれな彫刻も入っています
ムーブメントも優美です
Walthamという会社は1851年アメリカのマサチューセッツ州に誕生しました。当時スイスの時計技術は世界最高でしたが門外不出のものだったのでまねをして作るのは困難でした。
Walthamはアメリカで初めて集約型の時計工場で一から作り始めた時計メーカーです。多くの名作を世に出し、1957年には解散していまったようです。
シリアルナンバーが18268769となっています。調べてみると18200000から18899999までは1912年の製造のようです。
1912年というのはタイタニックが沈没した年ですね。100年弱も昔の機械がちゃんと動いているのも感動ですが、この時計はどんな人の腕にあって、どんな人生(時計生)を歩んできたのでしょうか。まさかタイタニックに乗っていたということはないでしょうが、ニアミスはあり得たかも知れません。有名な白瀬中尉の日本初の南極観測隊が南極点に到達したのも1912年。乃木希典が明治天皇の後を追い自決したのもこの年です。
小さな腕時計ですが、耳に近づけるとchichichichiという音がケースに若干の余韻を響かせて聞こえます。いったい何人の人が、何を思いながらこの音を聞いたのでしょうか。
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