解剖の試験



解剖実習に先駆けて解剖学の講義があります。この時点でわれわれ学生は死体とやらにお近づきになったこともない訳ですが、来るべき実習に備えて教科書的なお勉強をいたします。

前期が終了すると当然テストが待っています。解剖学というのは殆ど臓器の名前や位置関係を覚えることに終始します。例えば心臓に出入りする血管の名前とか、その肺に対する位置関係などは基本です。

その日のテストでは子宮周辺の解剖についての出題がありました。曰く、
「子宮の前方に位置する臓器を位置関係順に列挙」か何かの問題だったと思います。
キーンコーンカーンコーン、試験終了のチャイムが鳴ると一斉に答案用紙が回収され、待ちかねたように学生が今の試験の回答についてしゃべり始めます。

「子宮のすぐ前にある臓器って前立腺でよかった?、膀胱だっけか?」
「お前バカじゃないの、前立腺が子宮の前にあるはずねえだろ・・・・後ろだろ」

まあ、遠い昔の学生時代の話です。そんなみんなも今をときめく立派なお医者さんになっておりますのでご心配なく。